2011年2月16日水曜日

アスリートがアスリートらしく生きるために




今日は、私が考える最終目標をお話したいと思います。

私は常日頃より、
「アスリートがアスリートの誇りを持って生きるためには、アスリートがアスリートとしてお金を稼げるフィールドを作るしかない」
と、申し上げております。
つまり、それがスポーツを通した地域活性であり、
その手段が
「総合型地域スポーツクラブ(NPO)を作る」
ことなのです。
総合型地域スポーツクラブは、ヨーロッパではスタンダードであり、子供からお年寄りまで参加し、色々なスポーツを行えるスポーツクラブです。
イタリアのプロサッカーASローマ(中田選手が所属していたところ)のASは、「Associazione Sportiva」の略で、「スポ ーツ協会」という意味です。この他に、SSラツィオというチームがありますが、SSは「Societa’Sportiva」で「スポーツクラブ」という意味です。
イタリアセリエAの多くのチームは、サッカー以外のスポーツもサポートしている総合型地域スポーツクラブです。これらの有名なクラブは資金も潤沢で保有会員数も多く、スポンサーもつきやすいので、経営活動も金銭的な面では問題ないのですが、弱小クラブは資金繰りに四苦八苦しているそうです。
日本では、学校施設や公共施設をシェアするというやり方です。
愛知県ソシオ成岩スポーツクラブや石川県クラブパレットはうまく実践しています。
いわゆるフィットネスクラブとは違うものです。

メリット
・アスリートがアスリートの誇りを持って、セカンドキャリアを築ける。
・学校教員が抱える「部活指導」の負担を地域でシェアできる。
・学校が所有している施設インフラを地域で有効利用できる。
・高齢者を含めた地域住民の健康維持を積極的に促進できる。また、医療費削減にも繋がる。
・スポーツ文化をボランティアではなくビジネスで支えられる。
・トップアスリートを地域から育てて支えて応援していける。
・学校施設を使用することで、子供たちを地域住民で育てる・守ることが出来る。

問題点&対策
・ヨーロッパ文化の中で出来上がったものなので、日本にそのまま持ち込むには課題が多い。日本文化にあった独自の総合型地域スポーツクラブをつくりあげなければならない。
・部活を教えたい教員との兼ね合い。二者択一ではなく、共存共栄を目指す。
・会費を払うことへの抵抗感がある。日本特有の「スポーツにはお金が掛からない」という意識の改変が必要。そのためには、いかにニーズをおさえ魅力的なコンテンツを提供できるかが鍵。
・学校ごとの試合への参加資格。
・体育館は、公共施設として使用するか、社会体育施設として使用するか、で条件が大きく変わる。前述ですが、愛知県ソシオ成岩スポーツクラブや石川県クラブパレットは、その問題をうまくクリアし、すでに草の根的な実践例として存在している。

書ききれませんが、この他にもいくらでもメリット・問題点はあります。
気付いた方、どうぞ私にお教えください。

文科省は1995年から「総合型地域スポーツクラブ」のモデル事業を進めている。
また、昨年同省は「スポーツ立国戦略」を取りまとめた。
スポーツ立国戦略は、新たなスポーツ文化の確立を目標に掲げている。
ようは、レベルを問わず、全年齢、スポーツを使って社会を良くしよう。
スポーツを取り巻くガバナンスをクリーンにしていこうという戦略です。

文科省のスポーツ振興基本計画では、「全国各市町村に少なくとも1つの総合型地域スポーツクラブをおく」としている。平成20年度に同省が行った調査によると、2008年7月現在、全国1046の市区町村において総合型地域スポーツクラブが既に創設ないし創設準備段階にある。

この様に行政もある一定のやる気を見せているのです。

ようは、やってやれないことはない。

この大きな構想を未来像として、アスリートがビジネス感覚をもって、自分の仕事を作り出すことを始めていくこと。

具体的には地域に隠れている指導ニーズ(食育であったり、コーチングだったり、トレーニングやコンディショニングなど)
を掘り起こして、そこに応えていけるセカンドキャリアを現役中から少しずつ構築していく。

そのために、競技や地域の壁を越えて、ネットワークを作り、情報交換をしながら一緒に切磋琢磨していくべきだと私は思うのです。

やれば問題はいくらでも出てきます。
私も、分からないことだらけです。
少し動き出す勇気があれば、現状は簡単に変わるかもしれません。
でも、誰かが動き出すことを待っていれば、現状はいつまでたっても変わりません。

稼げているアスリートにとっても、決して対岸の火事ではないはずです。
自分が稼げているからそれでいいのか?
違います。
稼げていないアスリートは、すぐ未来に自分に降りかかるであろうリスクです。
日本一になる自分をイメージできたのなら、引退後のよりよい世界もイメージできるはずです。
「日本一になるにはどうしたらいいのか」をイメージしながら努力できたのなら、「よりよい引退後の自分の生活を作るにはどうしたらいいのか」もイメージできるはずです。

大げさではなく、スポーツで日本は変えられます。
地域に根付いたスポーツクラブが出来れば、住民一人ひとりの距離が近くなり、より良いコミュニティが出来るはずです。
先輩方が「昔は良かった」と語る、戦後間もない手を取りあい支えあった「昔」をもう一度取り戻せるかもしれません。

そうした結果、スポーツ全体を取り巻く環境が良くなり、いちアスリートとしてのあなたを取り巻く環境も必ず良くなります。
皆様、力を貸してください。
手を取り合って、世界を変えましょう。

丸山和也

0 件のコメント:

コメントを投稿