2011年2月20日日曜日

中学校1,2年生、武道必修化に向けて その問題点② 


こんばんは。

前回、予告したとおり「フランスでの少年柔道死亡事故0は本当か?」を考えていきたいと思います。

現在、フランスの柔道人口は51万人です。(日本は21万人。カウントの仕方が異なるので一概には言えないが、日本より多いことは間違いない。)
しかし、ニュースなどで「フランスの少年柔道では死亡事故はゼロで、日本の現状にとても驚いている」と報道されていました。
これが本当かどうかは確認できませんでしたが、少年柔道の指導方法は改善の余地があると思います。
もちろん全員を否定するわけではありませんし、少年柔道に全てを掛ける熱い指導者もたくさんいます。
しかし、どうしても教育とは思えない自己満足の暴力をはたらく指導者もいます。
ですから、フランスなどの諸外国から柔道指導を逆に学ぶことも一つだと思います。

余談ですが、私が指導していたオーストラリアの少年柔道クラブでは厳しい稽古はほとんどありませんでした。
その分、礼儀や技、受身の重点をおかず、完全にレクリエーション主体の「JUDO」になっていました。
それがいいのか、悪いのかは私には分かりませんが。

話は戻ります。
200カ国以上でプレーされ、日本発祥唯一のオリンピックスポーツである柔道は、今や世界的スポーツです。
幸いなことに、日本柔道は世界の最前線であり、海外指導経験者もたくさんいます。
何も外国人を呼ぶのではなく、その指導者経験者から現地の少年柔道指導方法をインタビューしてもいいのではないのでしょうか。

その事を筑波大学大学院准教授で元柔道世界チャンピオンの山口香先生(漫画YAWARAのモデル)にご質問したところ、
「知識や情報を共有することは重要です。その前提として指導者が学ぶという姿勢を持っているかが重要になるでしょう。」
というご返答を頂きました。
その通りだと思います。

私は、競技での柔道と授業での柔道は別物だと思います。
もっと言えば、学校教育の柔道は武道の精神を教える場であって、必ずしも実践乱取りをする必要がないと思います。
(指導者育成がすむまでは。)
そもそも、年間履修十数時間予定の中で素人指導者が教える授業で乱取り、試合をしようとするのが無茶なのです。
確かに乱取り・試合はおもしろいけれども、まずは指導者育成が先であって、指導できない人間が指導する柔道ほど危険なものはないのです。

私は柔道を愛しています。
もちろん、より柔道をメジャーにしたい。
だからこそ、順番を間違えれば柔道普及のチャンスが柔道衰退のピンチになってしまうことを申し上げたいのです。

最後に、柔道に対して世間が持つ悪いイメージはなぜなのか?(私の周りだけかもしれませんが)

柔道はコンタクトスポーツですから、確かに怪我のリスクもあるでしょう。
しかし、死亡事故がこれほど起こることは明らかにおかしいのです。
愛のある指導がほとんどで、その過程で起こる防ぎようのない事故もあるかもしれません。
しかし、悪意のあるものは「指導」ではなく「殺人」です。
どこの世界に子供を投げ殺すことが許される世界があるのでしょうか?
過激な表現かもしれませんが、大人が限度を知らずに誰が教えるのでしょう?

必ずしも武道と人材育成は直結しないのか?
違うと思います。
強い競技者育成が人材育成と相反する一面を持ち合わせているのです。
そうです。
強ければもてはやされ、許されてしまうことが危険なことなのです。
強ければ許されるのではなく、悪いことは悪いと平等に教えることのできる「当たり前」が大切だと、私は思います。

指導者がなぜ初心者を投げ殺すのか?
絞め殺すのか?
(防ぎようのないスポーツ事故は別)
自分がやられてきたからなのか?
伝統だからなのか?

そんな伝統ならいらない。

丸山和也

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